2017年10月17日

◆ 所得の効果

 マクロ経済学の本質である「所得の効果」は、一国経済の規模でのみ現れます。

 ──

 ミクロ経済学では「需要」と「供給」だけだったのに、マクロ経済学では「所得」も現れます。すると、無限循環が発生して、景気変動が起こります。ここにマクロ経済学の本質があります。
 ではなぜ、ミクロ経済学には「所得」がないのに、マクロ経済学には「所得」があるのか?
 それは、「所得」の効果が、一国経済の規模でのみ現れるからです。換言すれば、業界レベルでは「所得」という項目は現れません。なぜなら、業界で「所得」はあっても、「所得の効果」は、その業界に留まらず、他の業界に流出するからです。
 たとえば、納豆で考えると、納豆の需要と供給は考えられます。しかし納豆業界の「所得」を考えると、その所得で購入されるものは、納豆業界に留まりません。他の食品や日常用品や教養娯楽費や住居費など、さまざまな業界に拡散します。換言すれば、納豆業界で所得が増えても、その所得によって納豆だけが購入されるわけではないのです。
 一方、一国経済レベルでは違います。日本で需要や供給が増えると、日本全体の所得も増えますが、その所得で購入されるものは、(ほぼ)日本国内に留まります。従って、日本全体で考えれば、「需要と供給と所得のスパイラル」は成立します。これは一国経済レベルでのみ成立することです。
 結局、マクロ経済学の本質である「需要と供給と所得のスパイラル」(景気変動)は、一国経済レベルでのみ成立します。

     《 参考 》
     以上のことから、「ミクロ/マクロ」の区別は、「商品市場/国家経済」の区別と重なります。
     ここから、「マクロ経済学とは、一国経済を扱う学問だ」という認識が生じます。では、その認識は、正しいか? 実は、誤りではないのですが、不正確です。
     マクロ経済学は、一国経済レベルを扱いますが、一国経済レベルを扱うからといって、マクロ経済学になるわけではありません。一国経済レベルを扱っても、「所得」を考慮しないのであれば、それはマクロ経済学ではありません。
     たとえば、マネタリズムがそうです。マネタリズムは、一国経済レベルを扱いますが、所得の概念がないので、マクロ経済学ではありません。当然ながら、所得の概念がないせいで、その理論は不正確で欠陥だらけとなります。たとえば、「量的緩和によって景気が回復する」とか、「マイナス金利にすれば景気が回復する」とか、金融政策だけで景気を調整しようとします。しかし、いくらそんなことをやっても、投資を増やせるだけで、消費を増やすことはできません。したがってその主張は間違いだらけとなります。たとえば、「大規模な金融政策によって2年以内に景気回復(インフレ)をもたらす」という主張がありました。(黒田バズーカ) しかし、いくらそんなことをやっても、まったく無効だということが判明しました。
     所得の概念がない限り、それは欠陥理論となるのです。

      ※ 「所得の効果」について詳しくは、この用語を下記ページで検索すること。
          → 泉の波立ち「ニュースと感想」(42)

posted by 管理人 at 23:18| Comment(0) | マクロ経済学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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